8月の暴落を、今あらためて振り返る.
日本の株式相場は、8月は怒涛の暴落があり、そのあとの戻りで行ってこいになった感があります。
いま振り返ってみると、なぜ怒涛の暴落が起こったかというと、なかなか説明がつきません。
大きな要素は、日銀の利上げ、米国の利下げ懸念、中東の戦争状況の悪化、でしょう。
これは後付けのものであり、この3つでは説明できないのです。
なぜ説明できないかを、説明します。
まず、ここ8月の値動きを、世界の指数でみてみましょう。
7月末を0として、世界主要指数の値動きを示したものです。
NYdow,Nsadaqは説明が要らないでしょう。
DAXは、ドイツの株価指数で、欧州代表だと思ってください。
まず、7月31日、日銀が政策決定会合で、利上げを決めました。
3月のマイナス金利解除の4カ月後のことです。
この日の夜、NYダウは、前日比高値で終わっており、日本の影響を受けていません。
その翌日の8月1日、、日経平均は975円下落しています。
日銀の利上げを嫌気してものでしょう。
同日、NYダウは、やはり、日本の影響を受けていません。
米国は、日本が利上げしようが、なにをしようが、米株は関係ありません。
欧州も同様です。
欧米が下げていないわけですから、中東情勢は無関係です。
ここまでは、普通に予想できるものでした。
そして、8月2日、ここから、予期せぬ事態が起こります。
日経平均は2217円の下落。
975円下がって大きな下落と感じるわけですから、2千円を超える下落は恐怖だったでしょう。
2日で3192円の下落ですから、最悪、と思えた方は多かったはずです。
「最悪と言えるうちは、それは最悪ではない」
というのはシェークスピアの名言ですが、まさにそれです。
最悪のクライマックスは翌日でした。
8月2日、4451円の下落。
3日間で、7643円もの下落です。
しかし、この期間、欧米の株価は、多少は影響受けたかな、という程度の下落で済んでいます。
米国の利下げ懸念の影響で日本が下げたのであれば、ドイツだって下げるはずですから、そうではない。
海外の動きを観察する限り、中東情勢が悪化したニュースも全くない。
この最悪は、実は最高のチャンスでもあったのです。
知識(と勇気)があれば、買い向かえば儲かった。
では、日銀の理由で、これだけ下げたのでしょうか?
たぶん違います。
日銀の影響で暴落したのかといえば、たった0.25%の利上げであるのだから、8月1日の千円の下げで終わってよいはずです。
相場の恐怖と勘違いです。
何かが理由で、相場が下げるのはよくあることです。
たとえば、パンデミック。
正体がわからないので、不気味で不安なのです。
怖いから、ひとまず、売る。
それが参加者に連鎖して、暴落が起こる。
一気に下げるだけ下げる。
今回は、日銀の利上げの意味を読み取れずに、恐怖が先行して、ズンズン下げたものと思います。
ましてや、利上げなんて、超久しぶり、17年ぶりのことだったので、恐怖だった。
ようするに初めて体験する地震が、震度3だった、みたいなものです。
今回の暴落は、米国の利下げとは関係なく、中東情勢も関係なく、日銀の利上げそのもの、も関係なかったのです。
ただただ、17年間も起こっていなかったことが起こって、真っ白になってパニックになった。
だから、あっという間に戻りました。
こうしたことは、実によく起こることです。
まぁ、日銀が説明不足であったという点で、主犯は日銀で間違いがないのですけどね。