奥村式資産運用術

米国の株式相場が、特別な岐路にきています。

少し早いですが、今年の振り返りもかねて、今までの流れをおさらいしましょう。
こんな感じになるでしょう。

2022年3月から、米国は政策金利の利上げに踏み切りました。

パンデミックも終わりが見え、経済が一気に活力を取り戻したおかげで、物価が急上昇したため、金利を上げたのです。
その推移をみてみましょう。

2022年以降、今年10月末まで、ほぼ一本調子で金利が上げてきました。

一本調子とはいえ、2回、一度金利が下がっています。
最初の金利下落は、2022年6月から7月にかけて。
この時は、FRBが急激な利上げを進めていた最中でしたが、株価が大きく下落してきたので、
さすがに、もうこれ以上は利上げをしないだろう、という思い込みが長期金利を下げたのでしょう。

この時は、市場の思い込みは甘く、その後もズンズン利上げは続き、むしろ上昇幅は拡大してゆきました。

ここで補足しますが、FRB(正確にはFOMC)が決める政策金利は、インターバンク(銀行間の短期貸借)金利です。

長期金利は、ここでは10年ものの米国債の利回りで、市場で決まります。

もうひとつは、2022年の暮れです。
FRBの利上げペースが収まり、そろそろ、上昇も終わりになりそうだという安堵感が、長期金利を下落させました。
しかし、利上げペースは確かに収まりましたが、その後もFOMCという利上げ会合のたびに利上げが続き、今年の7月でようやく止まりました。

まだまだ、金利が上がってゆくかもしれない、という気持ちが、米株価を押し下げて今年10月末まで経過した、というのが今年の株式の大きな流れです。

今年11月にはいってから、長期金利は低下していますね。
FRBが、11月1日の利上げ会議でも利上げを行わず、さすがにそろそろ、利上げも終焉という見方が強くなったためです。

今回は市場の見方が妥当であろうという経済データは出ていますし、どうもFRBもその方針を決めたようだ、というネタ情報もリークされているので、そうなるだろう、と米株式市場は期待して、急激にNYダウが上昇した、というのが今後の流れの説明になります。

では、日本市場はどうかというと、米株が上がったから日本株も上がるだろう、と考えたら大間違いです。
今回の流れは、米金利を中心に考える必要があるからです。

米金利が下がると、米通貨であるドルは下落(ドル安)します。
当然に、円高の方向に進みます。

今まで好調であった円安前提の企業決算が、期待通りに出ないという危惧が、日本株の頭を押さえているのです。

これに関しては、もう少し個別企業の状況を観察する必要があります。

また別の機会に書いてみます。