金融の基本を学んでゆくと、必ず教科書に書いていることのひとつに、相場の上下を当てることはできない、という考えに触れます。
この基本の考えは、1973年に出版された
「ウォール街のランダムウォーカー」
原題(A Random Walk Down Wall Street)
という本でしょう。
1980年代には、大学でもこの著作から学んだり、
いろいろな反論や検証結果をもとに論争の中心にもなっていました。
累計、米国だけで1200万部を売ったといいますから、
おそらく、投資の著書としては、最大のベストセラーだと思います。
バートンマルキール原著(日本語訳は日経新聞出版)で、
読み続けられて今年で50年、13版になりました。
ファンダメンタル分析とテクニカル分析の弱点と特徴、この50年の実績を明確に示しており、
さらっと読んでもよし、本格的に読み込んでもよし、の本です。
この中で、実は明らかに間違っている部分があります。
株式相場は、上げと下げは五分五分、という記述です。
長い間株式を投資していると、NYdowでも、日経平均でも、必ず上昇します。
つまり、上がりやすく下がりやすい、のは明白です。
上げは下げより確率が高く起こるのです。
実際、長期で相場のリターンを分析すると、
現実には、下げは50%より低い確率で起こり、上げは50%より高い確率で起こります。
上げの確率>下げの確率
なのです。
しかも、上げは50.0002%で
下げは49.9998%というような、
ほぼ≒の関係ではなく、大きく異なる値が計算できます。
日経平均では、
上昇確率 53%
下落確率 47%
です。
なんと、6%も確率が違うんです。
つまり、売りから入ると、買いから入るより6%も負ける確率が上がる、という事実です。
誰もが実証できますので、興味のある方はためしてください。
計算は、1949年5月16日からはじまった東証の全営業において、
1営業日前の終値で買って当日の終値で売る、
あるいは、
1営業日前の初めでで買って当日の始値で売る、
という単純なことを毎日繰り返し、本日(たとえば11月10日)までのリターンを計算し、
プラスとマイナスを集計すると良いのです。
全営業 20198日において、
プラス 10699 53%
マイナス 9489 47%
ほぼゼロ 10
という結果になるはずです。
この結果を使うと、ブラックショールズ式を修正して、先物やオプションで
6%勝ちやすいモデルを作成することも可能でもあります。