ディスインフレってなに?
最近経済ニュースで聞きなれない言葉をよく耳にします。
ディスインフレです。
今後キーワードになりますので、掘り下げてみようと思います。
まず、インフレとデフレは、多くの方がご存じの言葉だと覆います。
インフレ(inflation)は、物価が上がり続けることですね。同じものを買うとき、今年より来年の方が高い。お金の価値が毎年下がり続けるわけです。来年買うならば、今買った方が得なので、モノが良く売れます。
デフレ(deflation)は、インフレの逆です。通貨収縮の意をもっています。
物価が下がり続けることですね。お金の価値は上がり続けます。同じものを買うとき、今買うより来年まで待って買う方が安く買えるので、今買うと損する。だからモノが売れない。生産も縮小し失業が増えやすくなります。それがさらにデフレを引き起こするデフレスパイラルなどと呼びます。
さて、2023年の日本は、どういった経済状態でしょうか?
昨年は、パンデミックが終わりをつげ、それまで抑え圧れていた消費や生産が一気に再開したおかげで、世界的なインフレとなっていました。戦争が、エネルギーや食糧の物価高を推し進めたのでインフレ率が高まったこともありますが、戦争開始以前からインフレになっていました。
IMFの世界経済予測(最新版は2023年7月)によると、大半の国では持続的なディスインフレーションを達成することが課題となる、と書いています。
ここにも、ディスインフレ(disinflation)という言葉が出てきます。
ディスインフレとは、インフレ(物価上昇)が進行する中で、物価上昇ペースが鈍化することをいいます。
デフレと同じような単語ですが、需要が減衰してゆくデフレに対し、ディスインフレは、あくまでもインフレではあるが、物価上昇ペースが落ちているだけで、物価上昇そのものは、継続しているわけです。
さっそく、日欧米経済圏での、物価上昇の推移をみておきましょう。
どの経済圏も、パンデミックによって物価が上昇をはじめ、2022年秋まで上昇を続けました。しかし、その後、上昇と同じペースで下降を始めています。
このペースが続くと、米国(緑で提示)は年内に物価上昇は2%台に乗せます。
2%台に乗せるというのは極めて重要な意味を持ちます。
日欧米、どの中央銀行も、インフレ率を2%を目標に設定しているからです。
これが、ゆるやかなインフレです。
非常に緩やかにインフレ状態であるので、経済が活性化する。
しかも、決してデフレではないので、生産も消費も成長を続ける。
雇用も安定し賃金も成長を続けます。
インフレの状態から、決してデフレにならずに、ディスインフレを継続させ、
ゆるやかなインフレの状態に至り、その状態のまま着陸する、
というのは、日欧米、中央銀行のとても重要なミッションとなっています。
今年秋以降、米国が世界に先駆けてその難しいかじ取りにチャレンジします。
このかじ取りの腕次第で、すべての金融相場は大きく影響されますね。
奥村 尚