TOPIXのパラドックス
株価指数としてよく使うのは、日経平均ですが、
TOPIXも合わせてニュースではよく使われます。
TOPIXは、東証一部(現在はプライム)に上場している全会社の時価総額を合計し、
基準日を100として指数化したものです。
基準日=1968年1月4日です。
今、TOPIXが2200であれば、基準日の22倍になっていることがわかります。
でも、ここに落とし穴もあります。
東証1部の、時価総額とTOPIXを合わせて確認しておきましょう。
青い線が時価総額(左)、オレンジ線がTOPIXです。
1989年に、昭和のバブルで日経平均が3万9千円になったとき、TOPIXもピークを付けました。
日経平均は、いまだにその当時を抜いていませんが、
東証1部の時価総額を示す青い線は、2017年に1989年のピークを抜き去りました。
時価総額では、すでに昭和バブルの抜いていたのです。
1989年末の東証1部時価総額は、591兆円でした。
2017年末には、674兆円になっていました。
そして、2023年7月末時点で、東証プライム市場の時価総額は823兆円。
1989年バブル時よりも約4割も上昇しているのです。
じゃ、TOPIXだって1989年末の時点より4割上がっているはずだよね。
でもそうなっていないぞ。
はい、それがTOPIXを持ちいるうえで面倒なところです。
簡単に説明すると、TOPIXの計算に持ちいる時価総額の計算方法が変更されたからです。
現在も、東証1部からプライムへの市場変更があったために、TOPIXの算出ルールを見直している最中です。
でも、確実に言えるのは、1989年の時点の日本を、すでに2017年時点で上回った、
今年も、さらに伸ばしている、
ということです。
(東証プライムの企業価値)と、
(プライム以外のすべての市場を足し合わせた企業価値)
の比率は、96:4 ですから、プライムだけをみれば、ほぼ日本企業の価値をみることになります。
したがって 日本企業の価値(=時価総額の合計)は、
12年間ずっと伸び続けている、いまは記録を更新中、
といえるのです。
奥村 尚