最近、消費者物価指数(CPI、consumer price index)という言葉がよくニュースで取り上げられていますね。
今回は、このCPIというものを、掘り下げてみます。
CPIは、総務省統計局から発表されますが、要する物価上昇率です。
昨年より、物価が どれくらい上がったか、という物価上昇を数字で示したものです。
最も頻繁に使われるのは、前年同月比というCPI総合(ヘッドライン)と呼ばれるもので、毎月集計され、翌月に発表されます。
たとえば、今年2月に発表されたCPIでは、今年1月の物価が、2022年1月より4.2%%上がったとしてニュースされました。
2022年1月に100円で買えたものは、平均的に言うと、2023年1月には104.2円になっていることを示します。
もし、この4.2%という数字がずっと続くとすると、来年は、さらに4.2%上昇して108.6円になります。
この調子で5年続くと、2027年には、2022年より22.8%上昇して122.8円になります。
もし、賃金が五年後に今と同じであれば、生活水準は、5年後に22.8% 悪化します。
1970年以降の日本のCPIを年単位で見ておきましょう。
1970年代に入り、猛烈な物価高がありました。
1973年は11.7%、1974年は24%もの物価上昇をしています。
オイルショックでものすごいインフレが起きたのです。
しかし、日本は急速な経済成長で、賃金も上昇したので、生活への影響は限定的でした。
1980年代に入り、物価は落ち着きました。
この時代も、経済成長をしていたので、生活水準は上昇を続けています。
1990年代には、CPIがマイナスにもなりました。
CPIがマイナスということは、物価が下がる、いわゆるデフレです。
物価が下がると良いことに思えますが、
「売れないから価格を下げる」、わけですからね。
売り上げは減少、利益も下がるので、給料は下がります。
へたすると、人員整理、要するにクビになります。
実際、この時期の日本は失業率も上昇し経済成長が止まりました。
2000年以降は、デフレが当たり前になりました。
経済によいはずがありません。これが、失われた20年です。
そしていま、最近の値で2023年7月21日に発表された6月のCPIは、
前年同期比3.3%となっています。
ちなみに、
CPIは、国際労働機関(ILO、国連の専門機関)で採択された国際基準(2003年)があって、どの国も、この基準で作成されています。
世界の国同士で数字を比較できるようになっているんですね。
世界との比較は、また別の機会にお伝えしたいと思います。
奥村 尚