奥村式資産運用術

株価を決める2つの要素

From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

株価は2つの要素に
分解できます。

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・稼ぎ
・買いたくなる気持ち
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の2つです。

稼ぎの多い企業ほど
株価が高くなる。

買いたくなる企業ほど
株価が高くなる。

こんなことは、
多くの人が知っている
ことでしょう。

株価はこの2つの要素を
掛け算して計算する
と定義します。

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株価 = 稼ぎ×買いたい気持ち
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ですね。

実務において稼ぎは、
一株当たりの当期利益(EPS)で示し、
アナリスト予想や会社予想を使います。

EPSは毎日変化するようなものではなく、
通常は四半期に1回

アナリスト予想を使う場合でも
せいぜい 四半期に2,3回しか
更新されない固定値です。

更新頻度は低いのですが、
会社やアナリストが
出す利益予想であり、

ひとたび下方修正や
上方修正されると、
株価に大きな影響を与えます。

さて、株価はリアルタイムで
変化するので、

株価をEPSで割ったものを、
『買いたい気持ち』
大きさとして逆算します。

これがPERです。
(なぜか日本はPERといいますが、
英語圏では、PEやPE ratioとしています)

PERはなにか難しい感じにも
聞こえますが、

株価が上がると
PERも比例して上がる性格があり

つまり日々の株価の上下は、
PERが刻一刻と変化しているからである
という考え方をとっていることになります。

PERは本来企業株価に用いるものですが、
市場、業種など、あらゆる指数単位で
平均値が計算できます。

国家間、指数間、業種間で
国際水平比較されたり、

過去の値と比べたりして
割高さ(あるいは割安さ)の
尺度としても使えるわけです。

特に良く使うのは、
株価指数に対してのPERです。

米国を代表する
指数であるSP500、Nasdaq総合、

日本であれば、
日経平均やTOPIXなどでは、
毎日指数と共にPERも発表されていますね。

5月1日の時点でPERを比較すると、
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・SP500 22.3
・日経平均 18.3
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欧州の主要株価指数では、
PERは日経平均より
さらに2割以上低い値になっています。

つまりPERを比較すると、
米国株はとても大きく、
日本株は大きく、欧州株は低い。

いいかえると、
米国株は買いたい気持ちがとても強く
日本株は強い、欧州株は弱い。

別の言い方をすると、
買いたい気持ちが強い
米国株はとても割高、

日本株は割高である
ということになります。

割高に株価が推移する理由は
いろいろあります。

まずカネ余りです。
お金が市中に有り余っているので、
資金の多くは証券市場に流れ込むわけです。

つぎに景気の良さ。
景気が良いと給料も上がります。

気持ちが良くなって大きな気になり、
株を買いたくなるわけです。

ところが今の米国は、
金利がどんどん上がって
カネ余りではなくなってきています。

景気もだんだん
悪くなってきています。

特に今年の世界景気は
悪くなっていく報告が、

OECDやIMFをはじめ、
あちこちの世界的シンクタンクから
発表されています。

ではなぜ買いたい気持ちが
高止まりなのでしょうか?
皆が買うからです。

なぜ買うのでしょう。

金利が上がっている状況=物価上昇の時期」は
現金を持っていると
価値が目減りするので損をするからです。

金(Gold)を買ったり、株を買って、
その値上がり益が物価上昇を上回るように
運用したいという願いが

株買い、金買いという行為になり、
金や株価を上昇させているのでしょう。

今後を占う上で、
米国の利上げが打ち止めになる期待が、

今後の米株、ひいては日欧株を見るうえで、
重要な要素です。
米利上げが今後さらに続くか否か。

今月のFOMCで
利上げ停止が打ち出されることが
市場コンセンサスになっていますが、

本当にそうなるか、
5月3日(日本時間4日早朝)にわかります。
今年前半最大のイベントになると思います。

奥村尚