From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
世界で株式の下落が続いています。
特に先週の下落が大きいのですが、
その原因は、大変に単純です。
最大の理由は、FRB(連邦準備理事会)が
0.75%という大変に大きな幅の利上げを
決定したからだと思われます(6/15、現地時間)。
更に続いて英国も
準備預金金利の+0.25%利上げを
決定しました(6/16、現地時間)。
同日、スイス国立銀行も
SNB政策金利を+0.5%利上げし、
市場は利上げ一色となりました。
金利が上がるわけですから、
その金利を得ようと債券が買われ、
そのために株式が売られるという
いつもの構図で世界株安となったものです。
金利を上げる理由は、
お金の流れを悪くしてでも、
モノが売れなくなるようにすることでしたね。
モノが売れなくなると、
要するに需要が減るので、
価格は下がる、という理屈です。
ECBも、
7月21日の金融政策決定会合では、
利上げを予定しています。
欧米はそのような状況ですが、
政策金利は変更せず、
という方針を打ち出したのが
我らが日銀です。
金利を上げると、
お金の流れが悪くなり経済に良くない、
今はコロナの影響で経済が回っていないから
利上げは時期尚早というわけです。
その成果を、株価で見てみましょう。
日欧米の代表的株価指数を
過去半年プロットしました。
米国は20%近く下落しました。
ドイツでも14%近く下落しています。
日本が最も良い状態ですね。
7.5%程度しか下落していません。
日本に関しては、
金利は欧米と違って利上げされていないのですから、
本当であれば下落する必要はないのですが、
欧米、特に米国の株安は伝搬しやすいので、
こうなっているという単純な理由で
日本株も下がったと思ってよいでしょう。
実は、日本の物価(消費者物価指数、CPI)の
上昇率が極めて低く、少なくともG7の中では
突出して安定しています。
日欧米共通で比較できる4月のデータを見ると、
2021年の4月比でこうなっています。
日+2.5%
EU +7.4%
米 +8.3%
日本も物価高は最近ニュースになっていますが、
欧米は日本の3倍も上昇しているということです。
日本は、経済を止める利上げをする必要は、
まだまだない、ということでもあります。
日銀の黒田総裁の任期は、
2023年4月8日ですが、
その時まで利上げはしないと思います。
とすると、
今後もずんずん上げてゆく欧米とは
もっと差がつくことでしょう。
日本の株式環境は、欧米に比べてかなり良い、
と言い切って良いのです。
加えて、欧米の利上げに関しては、
円安(ドル高、ユーロ高)を伴います。
日本の輸出企業は見かけ上の売上が大きくなり、
儲けやすくなります。
今回の円安は、単純に金利が低い日本から、
金利が高くなった欧米にマネーが流れただけであり、
マネーを求める資本市場の原理原則に沿った動きです。
日本がダメで日本売り、
という理由が入っているわけではありません。
これは「良い円安」ではないでしょうか。
奥村尚