From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
OPEC+という会議体があります。
もともと、OPECは、
メジャー(国際石油資本)から
産油国の利益を守るために
1960年に設立された組織です。
OPEC+は、OPEC加盟国に
非OPEC国10か国を加えた国々です。
経産省資源エネルギー庁が
出している2019年の資料では、
基準量はこのようになっていました。
これをみると、サウジとロシアが
突出して生産量が大きいことがわかります。
世界の産出量で
サウジは世界二位(産出シェア12%)、
ロシアは三位(同11%)です。
OPEC+には入っていませんが、
世界一位の産出国はUSA(シェア19%)
です。
ちなみに四位はカナダ(5%)、
五位は中国(5%)で、
やはりOPEC+には入っていません。
さて、
10月4日のOPEC+の会合では、
協調減産を縮小する方針を維持する
と確認しました。
原油輸入国からは、
減産縮小(要するに増産)を
求められていたわけですが、
それを見送ったのですね。
その結果、NY市場では原油は上昇、
7年ぶりの高値を付けました。
今年1月には1バレル50ドルでしたが、
いまは80ドル。
年初から6割もあがっていて、
その高値で安定しています。
原油の在庫も
歴史的な水準に落ち込んでおり、
原油不足ですね。
11/4にOPEC+が再び開催されます。
この時を境に、さらに一段、
原油高が進む可能性もあります。
石油を輸出している英米を例外として、
先進国には逆風です。
原油高が定着すると、
輸入エネルギー価格は上昇しますから、
企業の原材料価格は上昇します。
これから冬に向けて、
個人生活費にも逆風になります。
海運の価格はさらに上昇し、
輸入物価も上がります。
せっかく個人消費が
上向いてきているこの時期に
原油高はいかにもタイミングが悪すぎます。
特に日本にはキツい状況になっています。
原子力規制委員会のHPによると、
日本は大半の原発を停止しています。
東電のHPによると、火力発電で
8割のエネルギーを賄っていますから、
発送電コストの上昇分は
利用者が負担することになるでしょう。
悪い事に、円安が進んでいるので、
さらに輸入コストが上昇しそうです。
簡易的な計算ですが、
原油高と円安が続くと
1.2%-1.3%程度はGDPを押し下げる
インパクトがあります。
2021年の日本の経済成長率は
IMFの予想では2.4%(10月時点)なので、
その半分はエネルギーや円安で
吹っ飛ぶことになります。
この懸念が数字で表れるのは
来年になりそうですが、
こうしたビハインドを挽回するために
個人消費を伸ばせられるかどうかが
ポイントになるでしょう。
新しい内閣の政策に期待しましょう。
奥村尚