奥村式資産運用術

日本市場の将来を左右する新たな枠組み

From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

東証は、現時点で、
1部、2部、マザーズ、
JASDAQ(さらに2つに区分け)と
5つに細かくわかれています。

2022年4月には、こうした区分は、
全面的に変更になります。

既に発表されているのは、

現在の5つの区分を、
プライム、スタンダード、グロースの
3つに区分するというものです。

簡単にいうと、
東証1部銘柄はプライムに名称変更、
ただし数として絞られ選抜されます。

選抜に落ちた会社は、
全てスタンダードかグロースに移行します。

もう少し、ほり下げてみましょう。

現在東証1部の会社数は、
2192社もあります。

誰もが知る巨大企業は、
当然存在しています。

直近(2021.7.6)データによると、
東証1部のtop10はこうなっています。

時価総額 top10 (単位 円)
1位 トヨタ 31.6兆
2位 ソニー 14.2兆
3位 キーエンス 13.8兆
4位 ソフトバンクG 12.7兆
5位 ドコモ 12.5兆
6位 NTT 11.2兆
7位 リクルートHD 9.5兆
8位 ファーストリ 8.6兆
9位 任天堂 8.6兆
10位 MUFG 8.2兆

このリストは、
日本企業として最も価値ある会社10傑
ということになります。

少し前の大企業のイメージとは
合致しないのではないかと思いますが、
いかがでしょう。

この中に、
いわゆる重厚長大企業はありません。

しいて言えば、トヨタとNTTでしょうが
なにせ、3位キーエンス、7位リクルート、
9位任天堂です。

一方、東証1部には、
誰も知らない小企業も多くあります。

特に、時価総額が一部上場基準(250億円)を
下回る企業は全体の1/3もあります。

もともと、大証と東証が合併した時に、
大証1部と東証1部の条件が違うけど、
ひとまず東証1部に送り込んだ、

とか、

マザーズから1部に市場替えする場合は
時価総額が40億円で済む、という
イレギュラーなルールを制定して
複雑な例外を多発したせいです。

規模だけであれば、
まだ救われるのですが、

質の問題も起こっています。

2021年の3月末時点では、
東証1部の約半分の銘柄が解散価値を
下回る時価総額であった(PBR1割れ)のです。

はっきり言って、

東証1部にいる価値がない会社が
東証1部に半分弱あるということです。

そうした企業の多くは、
全て今の東証2部をスタンダードと改名して、
ここに突っ込まれることになるでしょう。

既に、スタンダードとプライムの考え方を
東証は発表しており、

東証HPでも一通り資料は出ています。

そして、具体的な判定の第1回目が、
7月9日(金)です。

現時点で、
流通株式の比率が35%以上、かつ、
その時価総額が100億円以上とされています。

グループ企業や親会社に
株式をホールドされている会社は、
なかなか残ることは難しいでしょう。

郵貯銀行も、国家が多くを保有しているので
残れない可能性もあります。

今のところ、1500社程度はプライムに残る
というイメージが浸透していますが、

これでは多すぎると思います。

500社程度に絞り、
せっかくのプライムの価値観を
出した方が良いはずです。

最終的には、相当絞り込まれる
のではないかと思います。

だいいち、世界の株価指数の中で、
NYダウ採用企業は30社、
SP500採用企業は500社。

ドイツDAX採用企業は30社、
フランスCAC採用企業は40社しかありません。

そんななかで、
日本のnewTOPIX採用企業が
1500社は多すぎますね。

いったいどうなるのか、
まずは今週出てくる一次判定は注目されます。

今後のスケジュールは、こうなっています。

2021年
7月9日 一次判定
(一定のルールにおける基準日で算出した
判定結果を上場企業へ通知)

その後順次、2次判定

9月-12月 市場区分の選択

12月まで 新市場区分への手続き

2022年
1月 全企業の区分を公表

4月4日 新市場区分へ移行

この動きとリンクして、
TOPIXの計算、日経平均の計算なども、
大きく変更を受ける事になります。

この取り組みは、今後の日本市場の
将来を決定するかもしれません。

奥村尚