From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
IMFが世界経済見通しを発表しました。
「あれ、少し前に世界銀行も
同じような発表をしていました…よね?」
はい。
IMF、世銀、OECDは、
それぞれ独自の立場と見方で、
世界経済見通しを年2回発表しています。
年1回ですが国連も出しています。
こうしたレポートを作るのは、
世界全部の地域を対象としているので
かなりのリソースがかかります。
民間シンクタンクで
作成するのは到底無理であり、
しかも、それぞれがHPで
詳細なレポートを無料で出しているので
かなり助かります。
なお、IMFと世銀は
本部がD.C.にあって仲が良いので、
今回のIMFの発表日は
世銀の情報から事前に知らされていました。
一応、時期をまとめておきます。
<組織と発表時期>
国連 1月
IMF 4月,10月
OECD 6月,11月
世銀 1月,6月
今回のIMFのレポートは、
定期発表時期ではないので
昨年10月の改訂版ということになります。
昨年の10月時点では、
IMFは日本経済をこのようにみていました。
<2020年10月時点 IMF>
2020年成長見込み -5.3%
2021年見通し +2.3%
2022年見通し +1.7%
今回の改定版では、
このように上方修正されました。
<2021年1月時点 IMF>
2020年成長見込み -5.1%
2021年見通し +3.1%
2022年見通し +2.4%
全般的に、昨年のレポートは
コロナウィルスの影響について
一定のシナリオをおいて仮説をたて、
それをもとに経済への影響を算定したのですが、
時間が進むにつれ、その仮説と現実が
悲観的になったり逆に楽観的になってきますので、
特にIMFは改訂版を積極的に発行してくれています。
今年は、どちらかというと、
下に触れるリスクよりも
上に触れるリスクの方が大きい
というベースライン乖離も示されました。
機関投資家が重視するのは、
OECDや世銀のレポートよりも
IMFの見通しです。
このレポートによって、
カントリーアロケーションを決めたりもします。
つまり、
価格変動リスクがある資産の比率
(エクスポージャーと呼びます)を
日本15%、欧州30%、米国50%、その他5%
などと決めるときの重要な情報にしている
ということです。
日本は僅かですが
上方修正された点では良い事です。
世界経済は2021年下半期に加速する
ということですが、
先進国の平均成長率は、2021年も、2022年も、
世界経済の平均成長率に全く及びません。
日本語のサマリーも出ていますので、
興味がある方はご覧ください。
IMF世界経済見通し(2021年1月):
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2021/01/26/2021-world-economic-outlook-update
奥村尚