From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
このブログが掲載される日に、
大統領就任式があります。
新大統領が政権につく最初の2年間、
上院も下院も全て民主党が多数派となります。
世界中のファンドマネジャーは、
ストラテジストと共に
銘柄やセクターへの投資配分を
政策の様子をみながら考えている
ところでしょう。
この段階では、アナリストは参加しません。
ストラテジストとアナリストは
どこが違うのか?
ストラテジストは、
政局、経済、為替、指数など
を予想する分析者です。
マクロ経済と呼んでいます。
アナリストは、
この業界では、
企業の業績を予想する分析者です。
ミクロ経済と呼んでいます。
この中間段階として、
セクターアナリストもいます。
自動車、インターネット、ユーティリティ―
などの業種の業績を分析する役割です。
セミマクロなどと呼んでいます。
さて、一般的な話として、
大きなファンドでは、
カントリーアロケーション、
アセットアロケーション、
セクターアロケーション、
ミクロアロケーション
の順に資産配分を行います。
1.カントリーアロケーション
国別の投資割合を決めるのは、
今年度の発展度合いを相対的に考え、
決めます。
2.アセットアロケーション
国別と同列ですが、資産配分を決めます。
株式、債券、商品、などの
大分類をまず決定します。
3.セクターアロケーション
通常は株式の配分が多数を占めるので、
どの業種に重点を置くか、
その割合を含めて決定します。
「1」「2」「3」は、
機械処理で自動化しているところもあれば、
ストラテジストとポートフォリオマネジャーが
人手を使って行うところもあれば、
両者を併用するところもあります。
4.ミクロアロケーションは、
要するに個別株のスクリーニングなので、
年中行事、日々の作業となります。
アナリストは、この段階で寄与します。
こうして、投資先の意思決定が行われます。
いわゆるパッシブファンドは、
目標とする株式指数が
あらかじめ決まっているので、
すべて機械処理で銘柄への投資が決まります
ので、こうしたプロセスは踏みません。
さて、
今年の米国への投資ウェイトは、
どうなるでしょうか?
ウォール街では、期待していると思います。
あらたな財政刺激策が早期に可決される
と予想しているのです。
その初動は、債券市場でも確認できます。
債券は売られ利回りは上昇していますね。
金利が上がるという事は、
インフレを期待しているという事です。
インフレを期待しているという事は、
成長を期待しているという事です。
政権初期にインフレ率が高まり、
成長が加速することを
織り込みはじめているのでしょう。
今年になって急に上昇したのは、
バイデン候補の勝利が決定的に
(ようやく)なったからです。
つまり、
相場は民主党に期待しているわけです。
ハイテクセクターは、
政権移行とは関係なく、
既に好調です。
ただし、GAFAに代表される
巨大IT株は米国でも、欧州でも、
独占禁止法の対照に直面しており、
見込みはハーフハーフです。
おそらく、投資全体の重点は、
ハイテクグロース株から
バリュー株にシフトされると思います。
いずれにしても、しばらくは、
今の調子が続くでしょう。
悪材料は出てくるとしても春以降になる、
という点を相場は織り込み始める
ように思います。
今後、環境、社会、ガバナンス
のいわゆるESG投資は
昨年よりもさらに重視されてゆくことも、
確実と言い切ってよいでしょう。
欧州ではとっくにそうなっており、
米国も共和党が政権から降りたことで
民主党っぽい政策が進むし、
温暖化対策の枠組みである、
パリ協定復帰も既に新大統領が
明言しているのですから。
奥村尚