From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
世銀(The World Bank,世界銀行)は、
1月と6月の年2回、
経済見通しを発表しています。
この半期に一度の世界経済見通し
(Global Economic Prospects,GEP)を
2021年1月5日に発表しました。
2020年は、世界中で第二次世界大戦後
最も深刻なリセッションが起こり、
(リセッション:経済や景気が下降している状態)
今年2021年は回復がどうなるか、
興味深い見通しでした。
ちなみに、世銀は、いわゆる銀行ですが
普通の銀行とはかなり異なる銀行です。
私は中学生の時、
世界中の中央銀行を束ねる凄い銀行
であると勘違いしていたものです。
実際は、途上国に
資金提供や技術援助を行う事を通して
困窮削減と繁栄の共有をめざす組織です。
世界120か国、1万人の職員で
構成されています(加盟国は189)。
1945年設立、本部はワシントンD.C.です。
さて、
世銀の世界経済見通し(GEP)によると、
まず昨年、2020年の世界経済の成長率は
-4.3%と見込んでいます。
これは、昨年6月の予想より
0.9%の上方修正でした。
しかし、
2021年の予想は逆に
0.2%の下方修正で4.0%となっています。
米国は2021年、4%から3.5%に、
ユーロ圏は4.5%から3.6%に、
下方修正されました。
ユーロ圏は2割もの下方修正です。
中国は2021年の成長率は
7.9%に上方修正されました。
2020年の成長率でさえ、
2%というプラス成長でしたから、
圧倒的な存在感です。
原油、金属相場の上昇見通しを背景に、
中南米の成長率も3.7%に上方修正です。
では、日本はどうだったでしょうか?
2020年は-5.3%(+0.8%上方修正)。
2021年は+2.5%(0%からの上方修正)。
2020年まで行ってきた景気刺激策が後押しし、
2021年後半の回復に弾みがつく、
という見通しです。
実は、世銀の見通しの数値は、
他の組織、たとえばOECDやIMFの
経済見通しの数値より低めに出ます。
理由を詳細に説明することは
話が複雑になるので避けますが、
米ドル換算して比較する際の
為替レートの算出プロセスの問題によります。
IMFの世界経済見通し(WEO)は
1月26日に発表されます。
IMFのWEOは、グローバルな投資家は
必ず参照するレポートであり、
一般には、世銀よりずっと、
こちらの方が重視されます。
したがって株価への影響が
案外高いように思います。
チャートに示してみました。
日経平均株価(実際のチャート)に
WEOのレポートで日本経済見通しについて
上方・下方修正があったタイミングを
明記しています。
毎回というわけではありませんが、
なんとなくその傾向がわかると思います。
少なくとも、そこらの占い師よりは
ずっと当たっていますね。
奥村尚