From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
株式の指標では、債券・金利と
比較するための便利な指標があります。
それが、益回りです。
益回りとは、税引き後の
利益を株価で割ったもので
単位はリターンと同じものです。
益回り(%) = (一株当たり利益 ÷ 株価)
単位を%にするなら、
これに×100をします。
金利=債券のリターンなので、
益回りを金利と比較すると
債券と株式どちらが有利なのか計算できます。
計算方法は、金利と引き算、
あるいは割り算を使用します。
引き算の結果を、『イールドスプレッド』と呼びます。
イールドスプレッド = 長期金利 – 益回り
イールドスプレッドが小さいと
益回りは長期金利と近い値になり、
債券より株式の方が割安にななります。
仮に、イールドスプレッドがマイナスの値であれば、
株式は大きく割安ということになります。
現在の市場ではどうなっているのか、
日本国債の利回りを見ながら解説します。
現在、日本の金利はこのようになっています。
残存期間9年以下の国債の利回りは
マイナスのため計算には使えません。
金利がマイナスということは、
債券を買うと、金利を買った人が
支払うことになるので誰も買わないはずです。
株式でいうと、一株当たりの利益が
マイナスと同じということであり、
売買判断の予想がつかないのです。
10年債はプラス金利になっているので、
今回はこの値を使います。
10年債の金利は、0.024%。
一般的に、株式の計算には、
日経平均かTOPIXを使用するので
日経平均を使います。
日経平均の益回りは、4.59%。
(※8月24日時点)
イールドスプレッドは、
10年債の金利 – 株式益回り = 0.0024% – 4.59% = – 4.588
つまり、計算するまでもなく
株式は割安である、ということです。
では、いくらまで上昇するのか?
益回りだけを要素とすると、
株式の益回りが0.0024%になるまで、
株式は買っても良いことになります。
株式の益回りが0.0024%になる時の
株価は43万8000円です。
この世に、債券と株式しか投資商品がない
と仮定すると、益回りで両者を比較するのは正しい考えです。
仮定通りだと、日経平均は
43万8000円まで上昇しても正当化されます。
ですが、
実際にはその他に、
不動産、先物、オプション、商品、
FX、仮想通貨、馬、絵画など、
色々な投資がありますので、
色々な市場がバブル状態なのです。
今のマイナス金利という状況が
いかに異常であるかがよくわかりますが、
この状態が何年も続いているのですから、
株式市場には上昇の余地がある
という1つの見方にもなります。
皆さんも是非、
益回りについて考えてみてください。
奥村尚