From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
シルクドゥソレイユが破産しました。
(6.29 ロイターより)
シルクドゥソレイユは、
直訳すると太陽サーカスです。
日本では、そのままサーカスと
紹介されることが多いのですが、
ゾウとかライオンのような動物を使いません。
オペラ、ポップスの要素を取り入れた、
現代の総合芸術です。
極限まで鍛えぬいた人間だけが出演し、
オリンピックのメダリストを多数抱えていました。
昨年までは、ラスベガスとディズニーリゾートを中心に
常設の公演を8つ行っていました。
さらに、大型客船(MSCクルーズ)でも
常設劇場で毎日ショーをしていました。
2011年まで、浦安のディズニーリゾートでも
ZEDという公演をしていたので、日本でも
なじみのあるカナダのサーカスです。
今回のウィルスのおかげで、3月にスタッフの
95%を解雇して破産申請の検討に入っていましたが、
ついに破産したというニュースです。
これは、かなりシンボリックです。
公演でビジネスを成立させている
企業は数多くあります。
劇場、ライブハウス、ライブを企画、
実行する事務所、歌手、俳優。
ブロードウェイの大手、日本だと、
宝塚、劇団四季などは全て該当するでしょう。
歌劇場、交響楽団は国立、州立、市立であれば
税金で成り立っていますが、市立の団体は
ヘタをすると全滅です。
公演ができない時期が長引き、
今後再開するにしても、
新しい生活様式では全席を
満席にすることはできません。
たぶん、満席=昨年までの半分の人数になります。
一回の後援にかかるコストは変わらないので、
利益はあまり出なくなります。
米国におけるエンタメ産業で、
ライブ関連のビジネスは300億ドル。
スポーツを入れると1000億ドル、
ざっと10兆円規模になります。
(IBIS、RIAA、PwCなどの公開データからTrioAM推計)
巨大なビジネススケールです。
こうしたビジネスがなくなっても
困らない人はいるかもしれませんが、
あまりにシンボリックであるために
人々のセンチメントは確実に悪化します。
相場には、ボディブローのように効いてきます。
しかも長期にわたって。
今後、このようなニュースが
増えてくるのではないでしょうか。
そうならない事を期待しますが、
そうなることを想定しておくこともまた
投資家としては必要なことでしょう。
幸い、出資者であるファンド、カナダの
「ケベック州投資公庫」は再生に向けた
資金の投資に合意しており、
カナダ政府も負債を引き受けるようで、
存在はなくならないようです。
奥村尚