奥村式資産運用術

ルールが変わった雇用と株価の関係

From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

おはようございます。

米国の株式相場が好調です。

まず、SP500やNYダウは
3月初旬の水準を回復しています。

ハイテク株が多いナスダックに至っては、
コロナ騒動前の水準に戻しています。

日本株も、かなり調子よく戻しています。

ロックダウンで下落した分の8割以上を
すでに取り戻しています。

日本は調子よいですが、米国には負けますね。

米国は9割以上取り戻しています(SP500)。

ナスダックは、ロックダウン分を取返しました。

日米の株式を比較してみましょう。
1月6日を100としてプロットしました。

米国がこんなに勢いよく上がってきたので、
日本も連れられてきた感があります。

米国の企業収益4-6月期は
前年同期比 12.3%減収、42.3%減益です。

これは最も悪い時期なので、
通年でみると、2020年のEPSは
22.8%マイナスです(Refinitiv調べ)。

景気を見るうえで重要な指標に失業率があります。

雇用が悪ければ人はお金を使おうとしないので、
雇用が安定していることが最も重要です。

失業率は、14.7%です。

米国の労働人口は1億5600万人ですから、
雇用者が2200万人以上減少した計算になります。

リーマン後に少しづつ積み上げてきた
雇用の回復ですが、一気にこの努力が
帳消しになったことになりました。

しかも、この数字は4月のもので、
5月も確実に失業者数を上積みしています。

さらに1千万人くらい増えているようです。

パウエル議長がネットで行った発言では、
FRBの試算で4万ドル以下の世帯の40%が
失業状態にある。

今後1カ月が最悪期で、その後は急回復する。

ということでした。

どのくらいに急回復かは数字が出なかったので、
IMFの数字を使います。

IMFが4月に出した世界経済見通しによると、

米国は2020年-5.9%成長、2021年は4.5%成長
ユーロ圏は 2020年-7.5%成長、2021年4.7%成長
日本は 2020年-5.2%成長、2021年3.0%成長

です。

少しややこしいのですが
IMFが予想するのは経済成長=GDPの成長であり
企業の利益EPSの成長とは異なります。

こうした悪い数字を市場参加者みんなが知っていて、
それにして、この勢いで株価を戻したということは、
こうした悪い材料はすべて織り込み済みである

ということになります。

しかし、織り込むのであれば、
1年後の株価をみている今は、
もっと安い位置にいるべきです。

2021年が成長するとしても、
2020年のマイナス成長をカバーしていません。

しかし、2021年の企業利益予想は
まだどこも出していないので、
経済成長と同じだけ、EPSも成長する

と考えて数字を当てはめてみます。

企業利益の成長なくGDPが成長することは
考えられないので、無理な計算
というほどでもないのです。

米国で言うと、今年は-5.9%成長ですから、
年末の水準は (100-5.9)%=94.1%

これが100%に戻ってはじめてもとに戻りますが、
その時に要求される2021年の成長率xは

94.1 % x = 100なので、

x=6.3%の成長が要求されます。

4.5%では足りないのです.

ナスダックが高いだけであれば、まだわかります。

ナスダック市場そのものが
IT業種で構成されていますから、

テレワーク支援ツールをはじめとして
今後のビジネス構造の変化の主流となるからです。

でも、トラディショナルな業種がメインの
SP500やTOPIXは、なぜこんなに早く戻して
正当化されるのでしょう。

考えられる理由はいくつかありますが、
説得力をもつ2つの言葉が頭に浮かびました。

ひとつは、
「ルールが変わった」

もうひとつは、ジョージソロスの名言.
「市場は常に間違っている」

奥村尚