From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
おはようございます。
2020年1月31日。
英国が、EUから離脱しました。
2016年の国民投票が意思表示した通りに、
ブレグジットが完了したことになります。
実際には、離脱した後も混乱を避けるために
現状維持で離脱しており、EUとの新しい関係を
協議している最中です。
法律や貿易、金融や人の移動など
多岐にわたっており困難を極めるでしょう。
その他にも、英国はたくさん
問題を抱えています。
歴史をおさらいしながら、列挙してみます。
まずは、自国の分裂問題。
EUは、1951年に発足した
欧州石炭鉄鋼共同体がそのルーツです。
原加盟国はフランス、イタリア、ベルギー、
オランダ、ルクセンブルク、西ドイツの
6か国でした。
その後、1957年に参加国間で
欧州経済共同体(EEC)、および
欧州原子力共同体の設立が
1957年に決まりました。
英国は、EECに対抗して
EECに加盟していない6か国
(オーストリア、スウェーデン、デンマーク、
スイス、ノルウェー、ポルトガル)を誘い、
自国を入れた7か国で別の連合体を作ります。
EFTA(European Free Trade Association)です。
この頃からのポンドレートを
長い時系列でみてみましょう。
1971年当時からの時系列です。
1971年といえば1ドル=360円で
固定レートだった時代です。
同じ期間のドル円レートと
合わせてみてみましょう。
(時間軸はポンドと揃えています)
いろいろあったものの、ようやく
1973年に英国はデンマークと共に
ECに加盟しました。
47年ぶりにEUから脱退というニュースは、
EUの前身であったECに加盟したのが
1973年だったからです。
ECに加盟するため、英国は
EFTAから脱退しています。
実は、EFTAはまだ存在しています。
加盟国はアイスランド、スイス、
ノルウェー、リヒテンシュタイン。
この4か国は、EUに加盟していません。
アイスランドとリヒテンシュタインは
欧州の他諸国とは独自の道を歩み、
そもそも運命共同体には興味がありません。
スイスとノルウェーは、
国民投票でEU加盟を拒否しています。
さて、ブレグジット後の英国は
まず自国の分裂を避ける必要があります。
北アイルランドが母国アイルランドと統合し、
もとのアイルランドに戻る事。
そして、スコットランドが英国から独立する事。
北アイルランドには、特別産業もなく、
アイルランドと統合する経済的な
メリットはないのですが、、、
なんといっても、もともと
一つの国でしたから元に戻る、
という動機はあります。
しかしスコットランドは、
領土に北海油田があります。
2014年にスコットランド独立のための
住民投票では、この油田の財源をアテにした
スコットランド独立賛成派が結局は、
「EUから抜ける事になる」
という英国残留派との議論に負けて、
最終的に独立案は否決されました。
現実的に、2020年代には
北海油田は枯渇し、生産が
ストップする予想があります。
北海油田は海の上にありますから、
巨額の資金がかかりますね。
海流の激しい深海に設置された
巨大な設備を北海油田全体では
500億ドルかかるようです。
・環境問題
・法的問題
・安全確保
などに加え、これだけの巨額の予算を
どう工面できるのか世界が注目しています。
そして、EU以外との関係
英国の貿易の半分を占める相手EUとは、
良い条件で今までの関係を継続できるよう、
絶対にまとめ上げなければいけないでしょう。
EUの中で発言力のある国は、
フランスとドイツです。
英国はかつて、フランスが反対した
という理由でECに入ることが
できませんでした。
EUとあらたに関係を締結する以上、
今回もフランスのイジワルにあうのは
用意に想像できます。
少なくとも、今年中に全て
まとめ上げるのは、かなり困難です。
しかし、EUと似たようなところに
加盟すればかなり代替できる。
TPPです。
2018年、安倍首相はジョンソン首相に、
EUに変わる自由貿易市場として
環太平洋連携協定(TPP)への参加を心から歓迎する
と英国新聞のインタビューで述べています。
TPPであれば、フランスのように
妨害する国はないので、英国は
すんなり加盟することができそうです。
しかも、TPPは、
大英帝国時代の領土がしっかり
入り込んでいて、全て友好国です。
(オーストラリア、ニュージーランド、
シンガポール、カナダなど)
私自身は、英国の代わりに日本が
EUに加盟すると面白いではないか、
と思っています。
奥村尚