奥村式資産運用術

世界経済からみる相場観を解説

From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

おはようございます。

早いもので、もう9月。

欧米は新しい期に入りました。

日本でも今月で上期が終了します。

キリが良いので今後の相場を見るための、要素を考えてみましょう。

株式相場は、なんといっても社会の景気に依存します。

つきつめると企業業績、そして個人では賃金と雇用です。

今期の企業業績は絶好調です。

昨期は、全体として過去最高の成績でしたが、それを上回るのが見えてきています。

第一四半期はその前兆がありました。

今月で第二四半期が終わります。

その成績が判明するのは1か月半後ですね。

(東証は、上場企業に45日以内に業績発表をするように義務づけていますので、業績発表は11月中旬になります)

来月から第三四半期のはじまりですが、 その時には、既に今期過半が過ぎていますので、=”” 企業業績の着地点に対する予想精度が高まるのです。来月から第三四半期のはじまりですが、>9月下旬における中間配当は、過去最高になることはもうわかっています。

その配当は株式への再投資に回りますので、今月末の配当落ち後、相場に大きな買い需要が入ってきます(簡単な試算では5千億円です)。

配当が大きいという事は、一株当たりの利益(EPS)が大きいという事でもあります。

日経新聞社の予想ではNK225のEPSは1,733と過去最高です。

日経平均をEPSで割るとPERが算出できます。

昨日引け値は2万2697円でしたから、
22,697 ÷ 1,733 = 13.09倍 =NK225のPER
ですね。

そして、為替の今期の想定と実勢レートの差による為替差益(あるいは差損)も見えてきます。

昨日までの今期平均ドル円レートは、110.01円でした。

これは、多くの企業が想定したレートより数円円安ドル高です。

この為替レートのままで進む場合、相当な為替差益が出てくるでしょう。

しかし、これだけ良いデータがありながらなぜ、上がらないのでしょうか?

これにはいくつかの理由があります。

まずはなんといっても、米国を対象としたEU、北米、中国、日本の通商問題です。

米国の貿易赤字は1位中国、2位メキシコ、3位日本ですから、ワースト3に対しては力を入れてくるでしょう。

日米の交渉(FFR)は、まだ担当者が顔合わせしただけで、実質始まっていません。

NAFTAは終盤ですが、カナダと決裂する可能性は(低いものの)あります。

メキシコとは合意完了しました。

輸入車の数量規制(240万台)が入ったことは、日本の自動車メーカーには衝撃だったでしょう。

米中は、既に関税の掛け合いが始まっており、アンダーテーブルでは、強い駆け引きを行っている最中です。

大国の面子の問題もあるので、そう簡単には解決しないと思います。

9月早々にも米国は2000億ドルの輸入に対して25%の追加関税を発動する意向です。

長引くと、とにかく世界経済の1位と2位の戦いですから、世界景気への影響は懸念されてくるでしょう。

中国経済の成長が世界をけん引しているのは間違いなく、日本企業も、業績を下方修正するハメになる可能性がある、ということです。

欧州も、自動車を中心に米国と交渉を続けている最中です。

さらに、EU経済で弱い国の債務問題は、解決できてはいません。

忘れていけないのは英国のブレクジットです。

EUから去る日は決まっており来年の3月末ですが、去った後の関係を全くなにも成立させていません。

それどころか、去るときの条件すらも何一つ解決できていません。

こうした不透明感が、市場心理を曇らせ、2万3千円が目に見えない壁となって、立ちふさがっているという構図になっていると思います。

相場でつく株価は、こうしたプラスの要素とマイナスの要素が入り混じった結果、売りと買いのバランスで決定されます。

不透明感を悪化させる要素が消えれば消えるほどプラスになるわけですね。

その見通しはどうなのか?

まずは皆さん自身で考えてみてください。

では、また次回。

奥村尚