From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
おはようございます。
前回からの続きで、金利政策と相場の関係をお話ししようと思います。
前回ブログ:https://j-i-s.info/j-i-s/nikkan_180620/
金利政策と市場の関係を考えるうえでヨーロッパにも目を向けたいと思います。
欧州中央銀行(ECB)は、市場にお金をじゃぶじゃぶ流すことをついに年内で終了すると発表しました。
以前から、そのような示唆はなんとなくありましたが、今回はそれを明確にしたのです。
ECBは今後、FRBが今行っている事を参考に、来年以降、利上げの実施と合わせて保有資産の売却を進めていく事でしょう。
残るは日銀ですが、6/15に現状維持をアナウンスしています。
つまり、今後もお金を市場にじゃぶじゃぶ提供する、ということを表明したわけですが
買い続ける国債の金額を観察してみると、国債買い入れ金額が縮小してきています。
2014年には年間80億円ベースで国債を買っていましたが、現在はそれが半減してきているのです。
それも、特にアナウンスはせずに、です。
市場では、
これがステルス型のテーパリングではないか、などといわれ始めています。
テーパリングとは、金融用語ではQE(量的緩和)の縮小を意味します。
さて、米国は金利上昇中です。
欧州では金利がゆるやかに上昇し始めます。
日本はゼロ金利の最中です。
これは、何を意味するかというと、ドルに対しても、ユーロに対しても円安になっていくということです。
単純に考えると円安は株式市場には良い事です。
輸出企業が多い日本には助かりますね。
しかし、金利が上がっていく
欧米の株式市場は、金利が上がることで株式が買われにくくなります。
これは、欧州の株式市場だけでなく世界の株式市場にとってもマイナス要因です。
欧米のセンチメントが悪くなる中で、日本が円安だけを理由に株価が上がることは考えられません。
一方、景気が回復してきたからこそ、カンフル剤としての金融緩和といえるじゃぶじゃぶお金を市場に提供する政策を止めるわけですから、
結果的に景気回復が明確になる、
というシグナルを中央銀行は発信するのは良いことでしょう。
景気の回復は経済が成長している証です。
インフレが適度に進み、景気が良くなる、という正常な経済に戻るのです。
少なくとも、昭和の時代は、景気は良くなり続けました。
国の経済を成長路線に持っていくこと。
しかも、物価を(わずかなインフレを伴った程度で)安定させる。
それを金融政策で支えるのが中央銀行の役割なのです。
こうしたプラス要因、マイナス要因は、金利上昇に限った話でもないのですが、同じ事象(今回は金利の上昇)において常に発生します。
これに加え、保護主義的貿易と貿易赤字の解消という、世界経済を揺るがしかねない政治問題が起きているのですね。
複雑ですが、ひとつひとつの要素に分けて、短期、長期という期間に区切って分解していくと、案外すっきりと整理できると思います。
では、また次回をお楽しみに。
奥村尚