奥村式資産運用術

セルインメイの歴史的真実

From:奥村尚
エーゲ海クルーズの船上より、、、

皆さんおはようございます。
只今海外でのヒアリングの帰りにエーゲ海でのクルーズを楽しんでいます。

日本も5月は大型連休ゴールデンウィーク中ですが、「5月」と言えば相場にはある格言があります。

「セルインメイ」

日本において、この言葉は5月は株が下がる(だから5月は買うな、売っておけ)という意味でよく使われます。

ところで、そんな言い伝えは、いつごろから始まったのでしょうか?

なにより、その言い伝えは本当でしょうか?

まず、セルインメイという言い伝えの意味についてお伝えします。

Sell in May, and go away ; don’t come back until St Leger day.
五月に売っておけ。そして、(St.Leger day)がある9月の第二土曜まで戻るな

これがフルセンテンスです。
(ちなみに、St. Legerとは、Leger Stakesという英国のクラシック三冠競馬です)

ウォール街では古くから伝わる格言ですが、これが日本に入ってきたのは案外、最近のことです。

米国で昔から存在した言い伝えが、なぜ今になって伝わるようになったのでしょうか?
 
これには米国でなぜ Sell in Mayという言い伝えがあったのかということが関わってくるので確認しておきましょう。

米国ではヘッジファンドの存在が大きいものになっています。

ファンドである限り、解約があるので、成績不振ファンドからは資金が逃げていきます。

その解約の機会が4月から5月にかけてある(と言い伝えられている)ことから、売られる→下げるとされています。
(この真偽に関しては、いずれ述べたいと思います)

日本にこうした言い伝えが入ってきたのは、2010年前後でした。8年前ですね。
それ以前には、そんな言い伝えは広まっていなかったのです。

2010年といえば、2009年に民主党政権になって初めて年を超えた時です。

新政権期待で4月まで上がった相場でしたが5月に急落したのですね。

2011年は大震災で低迷、2012年は政権末期で低迷した相場でした。

さて、セルインメイが妥当であるかどうか、5月最初の営業日に寄付きで買い、5月最終営業日に引け値で売った場合の、騰落率をしらねてみると当たり具合が明らかになります。

日経平均でみてみましょう。
わかりやすく一覧にしました。

SELLinMAY

結果はご覧の通りです。

1991年以降、5月は17勝10敗。
勝率 63%。

負けが目立つのは、1999年から3年、および、2010年からの3年でしょう。

今回は、2010年からの3年間にフォーカスします。
この頃は、5月になると毎年下がっています。

それが3年も続いたので、英米の言い伝えを当てはめた、というのが実態であることが、わかってきます。

民主党政権が相場に残した遺物であったのです。

なにより重要なのは、そんな言い伝えは当たっていないということです。

言い伝えをやみくもに信じてはいけない、ということも合わせて肝に銘じてもらいたいと思います。

なお、勝ち負けだけではなく、騰落率を%で数値化すると面白い傾向も発見できます。

僕が主催する塾では宿題として出しているのですが、ぜひ皆さんも、自分の手を動かしてやってみてください。

では、次回をお楽しみに。

奥村尚