From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
前回話題にしたセンチメントは、「心理」なので、数値にしづらいものがあります。
しかし、投資はサイエンス。
数値化する試みは昔から行われていました。
最も代表的なものは、VIXでしょう。
1993年から公式に発表されています。
シカゴ・オプション取引所が作った指数で、世界中の投資家が見ています。
VIXとは、
Volatility IndeX(ボラテリティ インデックス)の略で、別名、恐怖指数と呼ばれています。
数値が上がるほど、恐怖具合が上がります。
恐怖とは、市場参加者が予期する、下落の恐怖のことです。
平常時は、10-20%程度で、へたすると1桁%です。
この段階では、市場は仮に多少下がったとしても、大きな下落を伴いません。
しかし、政治情勢や経済情勢、あるいは、どんな理由であれ、何かきな臭い動きを投資家が検知すると、それが必ずオプション市場の相場で反映され、VIXが上昇します。
VIXが上昇すればするほど、市場が(まだ実際に下落していなくても)下落のセンチメントに満ちてきていることを示します。
VIXが30%を超えてくると、投資家であれば誰でも危なさを感じるレベルまで
市場心理が下がり始めています。
そして、実際に市場が大きな下落をした場合、VIXは過激なまでに上昇します。
2月6日に、VIXは瞬間50%を付けました。
実際は引けで37%程度で収まりましたが、それでも大きな値です。
30%台後半は数年に1度あるかないかの、大きな値です。
ちなみに、2008年10月のリーマンショック時には90%くらいまでいきました。
計算上は数百%までの上昇もあり得るということを知っておいてよいでしょう。
さて、日本でも2010年から日経新聞社がNK225指数(日経平均)を対象にした、日経ボラティリティインデックス(日経VI)を算出し、日々新聞やwebサイトで発表しています。
30%を超えると、危なさを感じるセンチメントとなってきますが、実際、この2月の第二週は30%を突破しました。
昨日の時点では、前場終了時22.5% 程度と良い状況になってきており、この流れで今年度最終日(3月27日)を終えられるのではないか、と考えています。
では、また次回。
p.s.
興味のある方のために、ボラテリティとは、価格の変動幅の比率です。
VIXは、SP500(SPX)指数のオプション取引から逆算した今後30日間の
インプライドボラテリティを測定したものです。
市場が不安定な時には、オプション取引市場が示唆するSP500指数の価格変動幅が大きくなる性格があります。
この値を使って市場が予想するSP500の価格変動幅を正確に求めることもできます。
本来は、変動幅が大きい場合、下方だけではなく、上方にぶれることも意味しますが、事実上、暴落の危険シグナルとなっています。
奥村尚