From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
個人の株主が、間近で会社の経営者を見たり、ましてや話す機会というのは、かなり少ないと思います。
機関投資家とアナリスト説明会というものを設定する会社は多く、主要役員は参加する会議ですが、そうした場には個人投資家は参加できません。
一応、上場企業は四半期決算を報告する義務があるので、誰でも企業HPで決算内容を知ることはできますが、それは会計数値の羅列にすぎない内容である事が多く、また、ページ数も多いので全てをつぶさにみてゆくことは難しいでしょう。
それに、気象の経営成績を判断するには、会計の約束事(企業会計原則)はもとより、複式簿記を理解し財務諸表分析ができないと、その内容が良いのか悪いのかわからないので、これまた難しさがあります。
結局、新聞や情報ベンダーのニュースなどで、良い、悪い、という評価込みの報告をうのみにするしかない、という事になります。
そこで、ぜひ生かしてほしいのが、株主総会への出席のチャンスです。
どの企業でも、役員がほぼ全員出席します。
代表取締役が必ず出席し、経営方針や経営成績、会社や商品の特色、場合によっては欠点などもいろいろ話をするので、大変に面白いのです。
面白いというのは、その内容ではなく、内容のプレゼン方法のことです。
例えば、司会や進行役ひとつとっても、ある会社はプロの司会者を雇って、大半のプレゼンを司会者が行ってしまう結婚式方式をとる事があります。
さらに上手な会社は司会者自身もプレゼンすらせず、この日のために金をかけて作った会社案内の映像ビデオを流しておしまい、の会社もあります。
一方、総務部長が進行役や司会を行いながら、社長が全てのプレゼンを行う会社もあります。
こうしたプレゼンをみていると、事なかれ主義で、とにかくこの時間を何事もなく過ごそうとやっきになっている会社なのか、真摯に株主に理解を求めようとする会社なのか、わかってきます。
株主総会では、質疑応答の時間は必ずありますから、株主からいろいろな意見や質問が飛び出す時の対応も見ものです。
社長が役員全員がいる場なので、質問によっては担当役員が代弁する事は多いのですが、
これは見方を変えると社長が把握できていない証でもあるので、やはり見ものです。
その時の役員間の対応をみると、日ごろの関係も見透かすことができるような気になります。
個人投資家からの質問は、多くの場合、個人投資家は意見のようなものを言いたいだけ言って終わりになってしまいますが、建設的な意見も多く、それを会社がきちんと受け止めているのかどうか、対応をみればわかります。
それやこれやで、お土産でごまかされることなく、総会の中身をしっかりとみて、自分なりの判断を行っておきたいものです。
では、また次回。
奥村尚