奥村式資産運用術

知らなきゃ損! 日経平均とTOPIXの歪みを見抜く

From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

おはようございます。

奥村です。

日経平均(以下NK225)は、日経新聞社が決めた225銘柄の単純平均を、TOPIXは東証1部上場企業の時価総額の総和を、それぞれある時期を100として、指数化したものです。

細かな違いはあるものの、どちらも株式相場全体の値動きを代表する指数として重宝されます。

この2つの指数の比をNT倍率といいますが、この6月以降、NT倍率は急落しています。

NT倍率の計算式は、NK225/TOPIXですから、この値が下がるという事は、a.分子が小さくなる(NK225がTOPIXより比率的に下がる)
b.分母が大きくなる(=TOPIXがNK225より比率的に上がる)

というケースで、NT倍率の値が下がるのは式から理解できます。

グラフで確認してみましょう。

今年に入り、先週7月14日の引け時点でTOPIXは4.6%上がりました。

NK225は2.7%上がりました。

NT倍率は1.8%下がりました。

このグラフは、一つのチャートで比較できるように、NK225を今年1月4日のNT倍率(=12.6)で割り算しています。

もし、NT倍率が変化ない場合、TOPIXとNK225は完全に重なるわけですね。

しかし、NK225は、どんどんTOPIXに対して下がっている。

このグラフでは為替はいれていませんが、円安は進んでいるので、輸出関連株を中心に相場は好調です。

半面、内需関連株は不調です。

NK225とTOPIXの構成銘柄比率が異なるので、上がる銘柄と下がる銘柄の数次第で、NT倍率は日々変動するわけですが、これだけ一気に下げるのには、わけがありそうです。

TOPIXが買われて、NK225が売られるワケとは、いったい何でしょうか?

ひとつは、歪の解消です。

もともと、NT倍率は2008年は9.5倍でした。
それが、5年間で12.5倍まで上がった経緯があります。
その反動が起きています。

NT倍率がどんどん上がってきた原理は、こうです。

NK225は、先物取引主導で価格が付きやすいのですが、NK225が上昇する際は、裁定買い(=現物を買い、先物を売る)が起こります。

このポジションが積もり積もると、NK225の採用銘柄は割高になり、TOPIXは割安になるのです。

似た理由で、NK225連動型の投資信託の買い=NK225採用銘柄の買い)も理由として挙げられます。

NK225先物だけを売買する投資家も多いはずでが、これまた、理由に挙げられます。

その反動がおきている、ということです。
この反動、つまり、NT倍率が下がる流れは、今度も続くものと考えています。

なお、裁定買い残は、短期での勝負ポジションなので、かならず近いうちに解消されます。

つまり、何兆円にも膨れ上がると、短期的な下落につながることも覚えておくとよいと思います。

ちなみに、裁定ポジションはまだまだ低い水準ですから、その点では安心してよいでしょう。

奥村尚