奥村式資産運用術

トレードに影響大!EUの展望を予測するために

From:奥村尚
ブダペストのホテルより、、、

おはようございます。

僕は、先週から中欧で経済の取材を行っているのですが、1週間ほどチェコ(プラハ)に滞在したあと、週末にドナウ川を船で下ってハンガリー(ブダペスト)に移動してきました。

このチェコとハンガリーは類似点があります。

まず、どちらの国もEU加盟国でありながら通貨としてのユーロを導入できていない事。

ユーロを導入できないのは財政赤字が理由です。

マーストリヒト基準といいますが、赤字国債の新規発行額は
GDPの3%以内に抑える必要があるのですが、それができていないのです。

実際には街中ではユーロが流通していて支払いもカードもユーロで済みますが、小さな商店や地下鉄などでは現地通貨が必要です。

もうひとつは旧ソ連の影響です。
東欧という共産圏を構成していたのですね。

チェコはプラハの春を旧ソ連が介入し秘密警察が支配する暗黒の時代になりました。

ハンガリーはハプスブルグ帝国で栄えたのですが一次大戦で負けた影響で弱体化し結局ナチスと同盟しソ連と闘います。

戦後はソ連に占領され支配されました。

どちらの国もロシアに対する(悪い)感情には特別なものがあります。

東欧とひとくくりにもできません。

日本にいるとあまり気が付かないのですが、

チェコ/ハンガリ―とルーマニア/ブルガリアの間には大きな経済格差があります。

一人あたりGDPはチェコ17600ドル、ハンガリー1万2300ドル、下はルーマニア9000ドル、ブルガリアの6800ドルです(2016 IMF発表)。

国家間で数倍の格差がある。
それがEUなんですね。

ちなみに日本は3万2500ドルで、フランスやイスラエルより下、イタリアより上といった位置にいます。

さて、EUを離脱する英国の最大の理由は移民受け入れでした。

EUは域内国籍をもっていれば、好きな国に住んで働くことができます。

これは、北海道で生まれて東京で仕事する事と同じように見えますが、大きな相違があります。

言葉と制度です。

日本で生まれた限りは日本語を話し、日本人として受ける法的権利はどこで生まれても同じですね。

 しかしEUでは各国の制度法律が違うので、問題が発生しています。

生活保護、子ども手当、社会福祉の制度は豊かな英独は整っており魅力的なのです。

結果、ルーマニア、ブルガリアから、英独に移民が殺到しました。

例えばロンドンは人口が増えすぎて朝の電車は山手線並みの混雑になり、英語を話せない人が急増し、病院も待ち時間が倍になりました。

あまり報道されていませんが、日本もとばっちりを食っています。

2011年以降、英国は人口増加を抑制するためEU以外からの移民(日本や米国を含む)を厳しく制限しているのです。

米国で博士号を取得した高学歴の科学者は移民できず、無職の英語を話せないポーランド人が無条件に移民できるのです。

これに加えて、難民受け入れの問題があります。

EU加盟国は割り当てルール(ダブリン協定)があるのですが、どう適応するかの法律そのものは各国で定めているので、うまく機能していません。

年間10万人にも上る難民受け入れをどう受け入れるか、

今後ルール改変を含めてEU離脱の選択が各国で議論されるでしょう。

まず移民問題があってその先に難民問題がある。

今年の大きな流れを理解するうえで、記憶されておくと良いと思います。

今年は、欧州は選挙ラッシュです。

3月のオランダ総選挙、フランスの4-6月の大統領選と議会選挙、9月の独連邦選、今後のEUの方向を、もしくはEUの存在そのものがどうなるか、わかってくる年になります。

ブレクジットの時のように、相場も大きく動く可能性があります。

デイトレードをやっている人には待ち遠しくて仕方ないのではないでしょうか。

肝心の欧州の経済ですが、また機会をあらためて、ご報告したいと思います。

では、次回をお楽しみに。

奥村尚