奥村式資産運用術
From:奥村尚都内の自宅より、、、
人工知能という言葉が、ここ2、3年で一般的になってきたように思います。
当初はチェスでスタートしたコンピュータ対人間の対局も、囲碁や将棋に広がり、小学生レベルだった対局能力も最近はプロの人間にも勝てるようになってきました。
コンピュータは、ルールが明確なものを正確に処理するのは得意です。
特に近年は、深層学習という技術が進化しルールや、そのルールの事例(対局の詳細)を学習する効率が飛躍的に拡大しました。
過去の膨大な対局データを全て記憶し、それを知識として使うことで将棋でプロと同等になった、ということになります。
金融ではどうでしょうか。
金融の分野においても「人工知能を使ったxxx」というサービスをよく見かけます。
たとえば、性別、年齢、年収、家族構成を書くとあなたにふさわしい保険商品がわかる、というサービスがあります。
いったい、どこが人工知能なのか不明ですね。
こうしたサービスは人工知能とは無関係で、単なるコンピュータの機械処理です。
株の予想はどうでしょう。
株のルールは単純明快です。
需要(買数)が供給(売数)を上回れば上がる。下回れば下がる。
ルールの事例も、過去の膨大な期間、詳細な株価推移を学習させることで可能です。
では、それを使って予想を的中できるでしょうか?
チェスや将棋と違うのはここです。
チェスではルールは不変です。100年前の対局データでもそれを生かすこともできます。
株式の場合、昔と今でルールが同じですが、前提条件が変わっています。
市場が変わりました。
東証と大証が合併、取引時間もかわりました。
市場参加者も変わりました。
昔は、機関投資家が圧倒的な比率で売買していました。今は個人投資家や外国人の比率が大きくなっています。
需要と供給も現在とは異なります。
上場企業も変わりました。
1980年時価総額top10をみると、1位NTT(21兆円)、2位から12位までの9社は銀行証券。
その他も重厚長大な会社が目立ちます。
今は1位トヨタ(22兆円、1989年は7兆円)を筆頭に、NTT,ドコモ、MUFG,ソフトバンクと続きます。IT企業比率がたかくなりました。
為替相場もかわりました。
固定相場は終焉し、変動相場になっています。
このような様々な変化を考慮すると株式の価格変動を予想するのは、株データと人工知能(だけ)では無理があるようです。
チェスに勝つのとは、わけが違いますね。
だから、おもしろい、とも思います。
では、また次回。
奥村尚