From:奥村尚
都内のオフィスより、、、
おはようございます。
前回を除いてこの2回は日銀の話をしています。
今までは金利調整の施策と歴史を、信用不安の対応などのエピソードとからめてお話しました。
今回は、金融緩和について。
金融緩和は、景気を刺激させることを目的にお金の流通を図ることを指します。
昔から日銀は金利を上下させてお金の流通量を調整してきました。
金利を低くするとお金が借りやすくなるため民間企業は借りて設備投資を行う。
設備投資が進むといろいろなものが売れるので景気刺激になる、金利を高くするとその逆というわけです。
経済成長してインフレがあった昔はそれでよかったのです。
インフレとは、物価が上がることです。
経済が成長するとお金の流通も増え給料も増えるので、モノは良く売れます。
モノが売れるとモノの供給が追い付かず物価が上がるというわけです。
このように経済が拡大し成長するときにインフレが起こるのです。
一方、インフレ状況では心理的にも明日はモノが値上がるという気持ちが起こり
今日のうちに買っておこう、思うので財布のひもを緩め経済を刺激します。
現在日銀がインフレ率2%を目標にしているのは、こうした理由があるのです。
さて、日本はバブルも崩壊し、経済成長が止まりました。
むしろ物価が下がるデフレに陥りました。
デフレとはインフレの逆で、経済が縮小し物価が下がることを言います。
モノが安く買えるのだから良い事に聞こえますが、経済が停滞しお金の流通も減り賃金が下がるので長い目ではマイナスです。
モノが売れないのだから、企業は仕事がなくなり失業率があがります。
日本は、1997年以降、バブル崩壊に続いて消費増税もあって深刻なデフレになりました。
バブル崩壊で山一証券、拓銀などが倒産した事を記憶している方も多いでしょう。
牛丼がどんどん値下げ競争しているのもデフレの象徴でした。
デフレの状況ではモノが売れないのだから、どんなに金利を安くしても、設備投資をして生産効率を上げ、どんどん生産しようという行動は起こらなくなります。
このようなとき、政府の財政出動が効果的といわれています。
政府が税金でモノをつくり、税金で生産をする。
1920年代の世界恐慌でルーズベルトのとった財政出動は
中学の教書にものっていますね。
もっと有名なのはヒトラーが作りまくった高速道路(アウトバーン)や戦争準備のための兵器製造です。
雇用はかなり改善されます。
雇用が促進させるのは景気刺激に最も重要なんです。
トランプ大統領が行おうとしている財政出動も景気を刺激します。
財政拡大とインフラ投資で景気を刺激し減税で消費を刺激する。
そうするとインフレを起こし金利があがります。
金利が上がるとドルで預金をしたくなるので皆こぞってドルを買う=ドル高です。
これは円安を意味します。
現米政府は輸出をして儲けるためにドル安を望んでいます。
トランプ大統領も、そして日本も欧州もそれは同じです。
が、財政出動は通貨高(米国であればドル高)を招くので、米国の物価は上がります。
やや複雑な因果関係ですね。
少し話を盛り込みすぎたかもしれません。
この先は、日本に話を戻したいのですが長くなりそうなので、次回以降にしたいと思います。
みなさま、良いお年をお迎えください。
奥村尚