From:奥村尚
都内のオフィスより、、、
こんにちは。
最近、日本銀行(以下日銀)が株(TOPIX連動型のETF)を大量に買っていますね。
これは、金融緩和の一環なのですが、そもそも、“金融緩和”とは、何の意味があるのでしょう?
日銀のふるまいを理解する事は、投資に携わる者にはとても重要なので、今日はなるべく話を単純化して展開してみます。
僕は、大学で受け持つゼミ(企業評価と金融市場)の中で、あるいは自分でも資産運用塾を主宰して、経済や金融の仕組みなどを体系立てて伝える事をしています。
こうした活動を通じて、中央銀行の役割がいまひとつ明確に理解されていない事に気が付きました。
理由は簡単で、昔習った教科書と今の日銀が異なるからです。
大学院生ですら、10年前に中学で習った教科書は今と既に違います。
ましてや、僕のように昔習った社会の授業とは、結構な隔たりがあります。
経済は生きた学問です。
昔の理論や考え方は進化していて、今の経済を理解するには
現在の中央銀行から学ぶのが近道なんです。
マクロ経済学と呼ばれる分野が
日銀政策の基本となるのですが、、、
その世界は21世紀に入って大きく変わりました。
特に、”量的緩和”は話題になりますが、世界で最初にこれを行ったのは日銀です。
では、この日銀の役割を順序立てて説明していきたいと思います。
まず最初に、“中央銀行”としての役割です。
中央銀行とは、一国の金融システムの中核となる特別な銀行のことです。
日本の中央銀行は日銀ですね。
日銀の基本目的は「物価の安定」です。
お札を発行し(発券銀行)、何かあったときの最後の貸し手(銀行の銀行)になる等、いろいろ役割はあるのですが、
目的は「物価の安定のため」と理解してよいと思います。
そのために、日銀は金利を引き上げたり引き下げたりして
安定を保ってきました。
日本の物価が安定しているのは、日銀の仕事が素晴らしいとも言えるのです。
ここで、昔の教科書で習った、“公定歩合”という言葉を思い出す人も多いでしょう。
“公定歩合”とは、日銀がメガバンクや地銀などの民間銀行(市中銀行といいます)にお金を貸すときの金利のことです。
昔は市中銀行の金利は公定歩合に連動していたので、これで良かったのです。
昔といっても10年前です。
10年前習った内容は既に大きく変わって、今やもう役に立たなくなったことになります。
それは,1994年に金利が完全自由化され、公定歩合とは関係なく市中銀行は自由に金利を決めることができるようになったためです。
この続きはまた来週お伝えします。
今回はきっとみなさん教科書で習って、記憶にある部分かと思います。
日銀の役割や基本的な政策については知っていて損はありませんのでこれから少しずつ取り上げていきたいと思います。
次回もお楽しみに。
奥村尚