From:奥村尚
都内のオフィスより、、、
こんにちは。
今日は、前回までとは打って変わって、酔っ払い仮説の話をしようと思います。
忘年会のシーズンですね。
夜遅くに電車にのると酔っ払いがたくさんいますが、特にその中でも、ひどく酔っぱらっている人を想像してみてください。
酔っ払いが、まっすぐではなく、右によたよた歩くとします。
次は右に行くか、左に行くか読めるでしょうか?
右に行ったから次に左に行くだろうとか、あるいは、右に再び行くだろうとか、人によって読みは異なります。
これは、じゃんけんと似ています。
一度勝った人が次に勝つ確率も、一度負けた人が次に勝つ確率も、50%です。
これを株に当てはめた研究があります。
バートンマルキールが1973年に「ウォール街のランダムウォーカー」という本を出し、ランダムウォーク仮説と呼ばれる
酔っ払い理論を提唱した名著です。
この本の趣旨は、じゃんけん10連勝しようが10連敗しようが、次に勝つ確率は同じであるように、株もそうであるという事でした。
つまり、どんなに連騰したあとでも、明日上げる確率は50%である、ということを統計で証明したのです。
ちょうど今の株式相場のように、13連騰した相場が翌日上げる確率は50%なんです。
セントルイスの連邦準備銀行が、NYダウが世界で初めて計算された1886年から2012年までの一日のリターンを集計した度数分布表を発表しています。
ほぼ完全な正規分布というきれいな形で表れていて、この仮説の正しさを追証しました。
これで、
株は将来がわからないランダムウォークをするのだから、過去の株価から将来を予想するチャート分析の手法は意味をなさないという事を証明できた事になります。
一方、チャート分析は意味があり、それで確実に儲けることができる、という人もいますね。
相場で勝ち続けている人がいるわけですから、(チャート分析でない方法であれば)勝つ方法は実在します。
では、チャート分析では不可能なのでしょうか?
不可能とは言いきれませんが、かなり難しいでしょう。
99%は酔っ払いのようにランダムウォークするのだから、チャート分析だけで儲かる手法が(あったとしても)誰でも使っている並大抵の手法ではダメである事はお分かりいただけると思います。
ただ、ヒントがあります。
図の分布をみると、99%の区間(頻度)できれいに並んでいるのですが、○で囲んだその先をみると、いびつな点がある事に気づきます。
1%以下の頻度で起こる、(一日+-5%もの)異常なリターンは、統計学では説明できない、特異点です。
今年だって、ブレクジットやトランプで2回も起こったこの特異点。
相場自体は、いびつな行動をするときがあるということです。
その特異点を生かす手法があれば良いのです。
その手法が、別にチャート分析でなくても、良いではありませんか。
では、その手法で、誰でもできるものは、果たしてあるのでしょうか?
これについては、またいずれ続編を書きたいと思います。
寒くなってきました。
お体に気を付けて、忘年会シーズンを楽しみましょう。
奥村尚