奥村式資産運用術

知らないでは済まされないロスカットの注意点

From:奥村尚
都内のオフィスより、、、

おはようございます。
奥村です。

突然ではありますが…

みなさん、ボージョレヌーボーのみましたか?

11月第3木曜日。
飛行機便なので割高な気がしつつも、つい乗せられて毎年買ってしまいます。

毎年「偉大な..」評価されていますが、いつも同じ(よく言えば新鮮な)味。

でも損した気にならないのは、どこかに満足感があるからなんでしょうね。

損といえば、株の損は実に損した気分になりますね。
今日は、「損」について掘り下げてみます。

先週は売りに関する実務的な計算をお伝えしました。

その中で、上げの利食いの計算と、下落時(もしくは相場上昇に関わらず手持ち株が上がらない時)の
損切の計算の考え方が異なることをお伝えしました。

では、なぜ、こうしたいろいろなノウハウや本が(あまり)ないのでしょう?

理由はいろいろあるのですが、まず、”こうしたノウハウを示せる需要が少ない事”でしょう。

「買い」であれば、株に興味のある誰でも対象になり、相手が多いのですが、

「売り」となると、既に買っている人だけが対象になりがちなので、需要相手(マーケット)が極端に小さくなり、商売にならないことがあげられます。

もうひとつは、買い手法の欠点があらわになることでしょう。

あるノウハウや手法に従って買った場合、買った値段よりも安くってしまうケースがあります(供給者からみるとこれは困る)。

そこでノウハウ提案者は考えます。

買いは売りを伴わなければ損が確定しない。
損が確定しないうちは(トレード途中であり損ではないのだから)、要するに欠点は表に出ないので都合が良いのです。

欠点が出ないようにこっそり工夫をして実績をアピールして、いかにも成果が出た、という手法はゴロゴロありますね。

トレードは、勝率100%というのはあり得ません。
損もするものです。
(実は勝率100%のトレード手法は、絵に描いた餅で良ければ存在しますが、ここでは触れません)。

トレードで成功するには、「損をしない事」ではなく、「損を受け入れ損をコントロールすること」なのです。
(勝率を上げることは最重要ですが、今回は触れません)。

トレードで成果を上げるには、まずは損失を大きくしない事が重要です。
特に、一回のトレードで大きな損をさせてはいけません。

 

たとえば、一回15% 損するとしましょう。
100が100×0.85=85になりますね。

すると次(2回目)は”85″からのスタートになります。

2回続けて失敗すると: 85×0.85 =72.3 です。

3回続けて失敗すると: 72.3×0.85=61.4 になります。

つまり…

元本の4割近くを失うのです。

もし、1000万円運用していると、3回の失敗で”614万円”になります。
これは厳しい数字です。

新しい元本614万円を昔の元本1000万円に戻そうとするなら、
⇒ 1000÷614=1.63

実に“63%”も稼がないといけません。

しかも、それだけ稼いで昔の元本に戻るだけ、という精神的なきつさもあるでしょう。

 * * *  

では、どのくらい損してきたら売りを意識するとよいのでしょうか?

これは、人によります。
投資資金の規模、目的、投資期間、ベテランか初心者か。。。

 

それでは答えが見えないので、「個人投資家、初中級、運用資金1000万円」という前提で、模範的な答を考えてみます。

ズバリ、1回のトレードの損失5%以内(多い人でも10%以内)だと思います。

1回の損失が5%であれば、4回連続損しても、⇒100×.95×.95×.95=85.7%です。

1000万円が857万円に減りますが、これを1000万円に戻すためには、新しい元本857ですから、⇒1000÷857=1.17

たった”17%”稼げば元に戻るのです。

この程度であれば、失敗したやり方を反省し、新しい挑戦をする気になるでしょう。

うまくいけば1回の勝ちで挽回できますから。

(ちなみに、1回10%の損失だと、3回連続して失敗すると
1000万円は729万円になります。

元本回復まで
1000÷729=37.2%
稼ぐ必要があります。

このくらいまでの負けが、今後も気力が続く限界と想像します。)

 

こうした損切売りは“機械的に判断する”に限ります。

思い入れ=思い込みで損が拡大する事がありますから、

気持ちで左右されないように、あらかじめ決めたルールにより機械的に判断するのが良いのです。

ここまで説明してきたロスカットの考え方は“マネーマネジメント”と呼ばれているノウハウで、とても重要です。

これができている人と、できない人は、継続的な成果が断然違ってくるのです。

株は、まずは「買い」から入りますから、「買い」に重点があるのは当然です。
良い銘柄さえ選べば必ず得をする。

しかし、失敗を失敗と機械的に認識し、それを上手に処理することもまた、「明日のために」必要なのです。

明日がある事。
それが、成功の秘訣だと思います。

それでは、次回をお楽しみに

奥村尚

PS.
今週末の私のセミナーですがキャンセルの方がいらっしゃいましたので現在、2席空きがあるそうです。

分かりやすく伝えようとしても文章ではなかなか難しこともあります。

今日のブログだって話せば5分もかからない内容ですがこれだけの長文になってしまいます。

投資・金融についての面白い話をたくさんしようと準備しておりますので興味のあるかたは是非ご参加ください。
https://j-i-s.info/j-i-s/okumura161127/